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Flower animals #1 よだれをこぼしてまで勝ち取った

2022年4月22日


テーブルによだれをこぼしてまで勝ち取った

あるとき黒犬ルビーは喜びのあまり
椿に鼻を突っ込みました。
花の芳しい香りを嗅げるだけで満足でしたが、
それに味があることに気づいたのです。
それは生きていた頃に食べていた新鮮なきゅうりや、
ガリガリ削ってこそぎ取ったとうもろこしや、
テーブルによだれをこぼしてまで勝ち取った
肉まんの味でした。
ルビーは飛び跳ね、駆け回ります。
何が嬉しいのかわかっていませんでしたが、
そうしているとやがて尻尾が椿の花になりました。
桜でもパンジーでも良かったのに、
そこには椿の花がありました。
ルビーは自分の名前が「赤」いこと、
椿の花が「赤」いことがなんとなくわかっていました。
そうして、自分の名前を授けてくれた寡黙な父親を
思い出していました。そしてまた意味もわからず
嬉しくなったのです。
[描画時間]1h ※2480×1748px 300dpi

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